高台寺所蔵「打敷」保存修理後の公開
豊臣秀吉の正室・北政所ねね創建の高台寺には、桃山時代の貴重な品々が多数伝えられてきました。今回ご紹介する作品を含む打敷十二枚は、なかには「高臺院(北政所)殿寄附」の墨書銘を有するものもあり、桃山時代を代表する染織品として平成11年に京都府指定文化財となりました。
打敷とは、仏前を飾る荘厳具の一種で、卓上にかけて供物や三具足などの仏具を載せる敷物を指します。これまでの調査から、これらの打敷の多くが北政所をはじめとする身分の高い女性の小袖が仕立て直され、供養や祈願のために寺へ奉納されたものだということがわかっています。
いずれも経年による破損のほか打敷として使用した際の汚れや保管時のしわなどがありましたが、この度、京都府、京都市、公益財団法人 朝日新聞文化財団より文化財保護助成を受け「菊桐松竹鶴亀甲文様唐織打敷」「三ツ盛菊桐文様唐織打敷」の保存修理が完了いたしました。これを機に高台寺掌美術館にて公開展示いたします。
■打敷とは
打敷とは、仏前を飾る荘厳具の一種で、仏前の卓上や棚上にかけたり、または敷いたりして供物や香炉・燭台・花立などの仏具を載せる敷物。
その起源は、釈尊が地面に直接座り説法をされる姿を見かねた仏弟子たちが、お座りになる場所に自分の着物などを敷いたり、花で飾ったことによるという。高台寺の打敷は保存修理にともなう解体により、衿、肩山、衽、裾といった着物のパーツに相当する部分が確認され、これらが当時の女性の着物(小袖)を仕立て直して奉納されたものであることが明らかにされている。

菊桐松竹鶴亀甲文様唐織打敷
修理後

三ツ盛菊桐文様唐織打敷
修理後
◆展示期間
菊桐松竹鶴亀甲文様唐織打敷
2022年5月10日(火)~5月30日(月)
三ツ盛菊桐文様唐織打敷
2022年5月31日(火)~6月20日(月)