後藤典生住職の法話

仮想の世界

 赤ちゃんと目が合うとニコッとする。
 可愛いものである。 赤ちゃんは私がどのような人間であって、どのような地位にあるかということは問題にしない。
 現代の人々は地位や肩書きにこだわる。相手がどのような人かを知って微笑みをうかべる。
 逆に考えれば、人が「貴方は立派な人ですね」と言ってくれるのは肩書きに対して言っている場合が多い。
 僧侶であろうが社長であろうが政治家であろうが、そんなことは仏教では何の関係もない。名刺に仰々しい肩書きをつけてもそれは仮装である。本当の人間は素っ裸で風呂に入って出会った時、この人はどこか輝いているなというのが大切なのである。
 現代は仮装世界である。 不必要な衣装や肩書きをいっぱいつけて、その重みに耐えられなくなりながら中身はほんがら、というのは避けたいものである。
 赤ちゃんは相手がどんな仮装をしているか知らないのにニコッとしてくれる。
 仮装を越えた存在である。