後藤典生住職の法話

花筏(はないかだ)

 京都東山高台寺の霊屋(おたまや)にある花筏(蒔絵)は私たちに生命の尊さを教えてくれる。
 お釈迦様は、世は無常であるという教えを残された。
 森羅万象、あらゆるもの、私達の生命ですら一点に止まることなく流れている。
 四百年前の幸阿弥家の人々はお釈迦様の教えを見事に蒔絵にした。
 川の流れに筏を浮かべ、人間の生命(いのち)を表現したのである。
 その筏は私たち自身の生命である。
 川の流れも筏も、そして私たちの生命も、一瞬たりとも止まってはいない。しかし見た瞬間の筏は実に美しいものである。
 瞬間の私たちの生命も同じである。
 悲しいこと辛いこと寂しいこともあるが、嬉しいこと楽しいこと、そして喜びもある。
 瞬間の生命になんと大きなものが入っていることだろう。
 大いなるかな生命、だから四百年前の人々はその筏に花を散らしたのである。
 高台寺は私たちに人間の生命そのものを教えてくれる寺である。