後藤典生住職の法話

幸せ

 幸せになりたいと人はよく言う。
 幸せとはどこにあるのだろうか。
 カールブッセは「山のあなたの空遠く、幸い住むと人の言う」といっている。
 山の向こうに幸せが有るだろうか。
 そんなものは山の向こうにはない。

 青い鳥という童話で、チルチルとミチルは青い鳥(幸せ)をあちらこちらへ捜しに出かける。
 結局青い鳥は見つからず、家に帰ってみるとそこには暖かい家庭があり、それが幸せだと気づくのだ。
 幸せだと気づくのだ。
 幸せは外の世界にはなく、自らの内にあるというのが仏教の考え方である。
 外にないものを求めず、内に求めよということである。
 ところで幸せとはなんであろうか。
 人間というものはやっかいなものである。
 上昇思考がある。
 サラリーマンでいえば何とか係長になりたいと思い、なれば課長、部長、社長になりたいと思う。
 生活で言えばラジオ、テレビ、ステレオが欲しい、小型車を手に入れれば中型車、大型車が欲しいと欲にはきりがない。
 望んでいる時はそれが手に入れば幸せになれるような気がするのだが、手に入れば次のものが欲しくなり、留まるところがない。
 仏教においては幸せは、そんなものではない。朝起きて布団を片付けて掃除をしてご飯を食べて一日くたくたになるまで働く、そして寝るという生活、その繰り返しが幸せだ。
 あるがままの生活、何の変化も無い生活、実はそれが素晴らしいことなのである。